ご挨拶 Introduction

聖路加国際病院では、医療の質指標(Quality Indicator:QI)を用いた医療の質改善活動[QI(Quality Improvement)活動]を一冊の本にまとめて出版してきました。

https://www.intermedica.co.jp/author/a10044335.html

2024年からは多くの方がいつでもアクセスできるようにホームページに公開することといたしました。

このようなQI活動を始めてから20年目の節目となりました。病院のあらゆる部署で独自のQI指標が設定され、PDCAサイクル(Plan「計画」⇒Do「実行」⇒Check「評価」⇒Act「改善」)に沿った改善活動の実践が根付いていることが伝わるのではないかと思います。毎月開催されるQI委員会は、2024年度からはクオリティマネジメント推進会議と名称を変更し、改善状況(QI指標の測定結果)を発表し、実践内容やPDCAサイクルでの問題点などを引き続き議論して参ります。また、各部署でも自部署が改善に取り組むQIを設定しており、年に1回開催される、診療活動や業務改善などに関する全職員による研究・業績発表会である「聖路加アカデミア」でも、各部署のQI活動を紹介する発表を通じ、活発なディスカッションが繰り広げられています。

当院は、提供する医療の質・安全について海外の第三者機関による評価を受けてきました。米国に本部がある国際的な 認定機関であるJoint Commission International(JCI)による認定を2012年から受け、3年ごとに更新し、2022年1月には4回目の更新を終えました。また、2019年には、最高の看護ケアと看護実践の専門性やチームワークを評価するアメリカ看護師認証センター (The American Nurses Credentialing Center:ANCC)によるマグネット認証(Magnet Recognition®)を、国内で初めて受けることができました。これらの認定・認証取得の過程においては、病院幹部がQI活動全体を紹介したり、各部署にあるQI指標の測定状況を掲示するQIボードを用いて、現場のスタッフが具体的なQI活動の現状を説明したりすることについて毎回高い評価を受けてきました。

当院の創設者であるルドルフ・B・トイスラー博士による、「キリスト教の愛の心が人の悩みを救うために働けば、苦しみ は消えて、その人は生まれ変わったようになる。この偉大な 愛の力をだれもがすぐわかるように計画されてできた『生きた有機体』がこの病院である」という全職員に向けたメッセージは、120年近くにわたり受け継がれてきました。我々の病院には全職員が熱意とたゆまぬ努力をもって培ってきた、医療の質と安全を常に改善・進歩させようとするQI活動の精神があります。これは今後もさらに発展し、引き継がれていくものと確信しています。

2024年5月
QIセンター医療の質管理室室長
クォリティマネジメント推進会議議長
水野篤

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